Accounting Hacks: 2009-01

2009-01-29

丸井今井、民事再生法申請

北海道の百貨店、丸井今井=『丸井さん』が経営破たんし、民事再生法の適用を札幌地裁に申請した模様。


以下、ロイターより。

[東京 29日 ロイター] 
北海道の老舗百貨店、丸井今井(札幌市)は29日、札幌地方裁判所に民事再生法の手続きを申請し、再生手続きの開始が決定したと発表した。
広報担当者によると、丸井今井は、2005年11月に伊勢丹と業務支援提携を結び、これまでも支援を受けてきたため、今回もスポンサー支援を要請した。これに対し、三越伊勢丹ホールディングス(3099.T: 株価, ニュース, レポート)は「至急検討に入る」としている。負債総額は08年12月末で約502億円。

帝国データバンクによると、1997年に主力取引行の北海度拓殖銀行が破たんしたのをきっかけに経営難が表面化。
整理回収機構や道内金融機関の金融支援のほか、伊勢丹からの支援で店舗改装などの再建に取り組んできたが、予想を上回る個人消費の落ち込みで2008年1月期には43億8300万円の当期純損失を計上。今期に入ってからも売り上げ減少に歯止めがかからず、再建計画の再度の見直しを迫られた。


丸井今井、伊勢丹にスポンサー支援を要請しているようですが、はっきり言って伊勢丹だってそんなに余裕はないのでは・・・?
地方の老舗百貨店が閉店してしまうと、その後は街全体が見るからに活気がなく悲惨な状態になってしまいますよね。
再生法の適用を申請したということは、今後は今まで以上に不採算店舗の閉鎖や従業員のリストラなどが行われるのでしょうが、全ての手を打ったからといって見事再建できるとは限らないわけで。

そもそも百貨店の存在意義が問われている昨今、状況は非常に厳しいでしょうね。

独断・偏見であえて言わせていただくと、百貨店を含めた地方の接客業のレベルは、東京などの大都市のそれと比べて非常に低いと思わざるをえない。 接客態度や商品知識を含んだそもそもの「プロ意識」というものがどうしても足りないように感じるのです。
新宿のヨドバシカメラの店員さんなど、本当に関心してしまうほど「プロ」です。


悪化の一途をたどる経済状況の中、そこで働く人たちのモチベーションを上げるのは大変難しいことだとは思うけど、客としてはお店に行ったらいつでも気持ち良くサービスを受けたいものです。

2009-01-26

【書評】 クラウド化する世界


クラウドコンピューティングの現状について俯瞰的に書かれた本。
電力業界の変遷と比較しつつ、ネットを中心としたIT業界が向かっている未来をわかりやすく語るあたりはとても面白い。

これまでは自社で賄っていたIT投資(windous、会計システム、各種データベース等)であるが、ネットの『あちら側』(クラウド=雲)から提供される様々なサービスを利用することによって、web(ブラウザ)経由でより安価に業務を行うことができるようになる。

こうなると、グーグルがブラウザ『Google Chrome』を開発した理由もわかってくる。
単なる閲覧だけではなく『仕事』として使うならば、同時にいくつものサイトやアプリケーションを開いてもビクともしないタフなブラウザが求められる。chromは例え一つのタブに問題が生じてフリーズしたとても、それがブラウザ全体に影響することはない。
また、ビジネスは時間との勝負であり一分一秒も無駄にはできないが、その点に置いてもchromは徹底的に無駄を省き、他のブラウザに類を見ないほどの速さを誇る。
まさにクラウドコンピューティング時代のブラウザだと理解できるだろう。


本書に出てくる企業はグーグル、アマゾン、セールスフォースなど、クラウド化の象徴のようなところが殆どであり、専門のエンジニアやマーケターが読んでも「何をいまさら?」という内容ばかりで特に得るものは無いかもしれないが、今ネットで何が起きているのかを簡潔に理解するには非常に参考になる一冊といえる。


2009-01-23

EFO(エントリーフォーム最適化)の成功例 【星野リゾート】

EFOを実施することによる具体的な成果がITproで記事になっていました。

EFOとはEntry Form Optimizationの略で、エントリーフォーム(入力フォーム)最適化のことですが、簡単に言えばECサイトなどの会員登録や資料請求などの際に入力フォームを最適化することによって、コンバージョン率を上げる施策のことですね。

以下、元記事を一部引用。


リゾート施設運営の星野リゾート(長野県軽井沢町)は2008年末までに、運営する温泉旅館のウェブサイトの改良を完了した。

利用者の利便性向上や予約獲得数の増加を狙ったガイドラインを策定し、これに沿って全国約10カ所の温泉旅館のサイトを順次改良。
「いづみ荘」(静岡県伊東市)のサイトの場合、改良半年後にサイト経由の予約数が8割程度増え、予約フォームの離脱率(予約画面で何もせずに去ってしまう利用者の比率)も約45%から30%弱にまで下がった。
・・・


SEO、LPO(Landing Page Optimization)と合わせて、間違いなく今後のwebマーケティングの柱になるでしょう。
ユーザビリティを追求していくと、そこにはビジネスチャンスが眠っているということですね。

※上記の旅館サイト、Firefoxだとうまく表示されないのはいただけない・・・

2009-01-20

北洋銀行と劣後債

札幌北洋による公的資金申請のニュースが流れて数日経ちましたが、北洋銀行ではこれ以前にも資本政策の一つとして劣後債によっても資金調達しているんですよね。


北海道新聞の記事によると、
同行が行っている資本増強として、〇八年十月以降の劣後ローンによる調達額の合計が二百五十億円程度となったことも分かった。内訳は道内十二信金から百億円程度、複数の生損保から百五十億円程度。

となっているわけです。

劣後債といえば先日ぐっちーさんがブログで、ドイツ銀行が劣後債のコールをかけなかった件に触れつつわかり易く解説してくれてましたが。曰く、
劣後債、細かい定義はともかく、要するに資本に算入できる債券の顔をした資金調達です。

もう少し引用させていただくと、
資本ですから銀行的には「永久債」などというものが好まれますが、投資家から見ると期限がない返済順位が株式とほぼ同等の融資に該当しますのでこれは怖い(実は80年代にはこんなのががんがん発行されました。当時は本当に銀行は絶対につぶれないと思われていたのです・・・)

そこで償還期限10年ノンコール5年など、5年後からコールをかける可能性がありますよ、として、しかもコールをかけない場合、つまり償還させない場合は利率が上がる、ステップアップと呼ばれる仕組みで償還にプレッシャーをかける、という商品が一般化していきました。

テップアップですから5年後に新しいステップアップ後の金利条件と照らし合わせて償還するかどうか決めれば良い・・・・ようなものに見えますが、実は当然コールをかけますよ、とマーケットでは認識している商品です。


ドイツ銀行については、ユーロ建ての劣後債のコールをかけなかったということで、投資家に対して筋を通さなかったということですが。

北洋銀行がどのような約束で起債しているかはわかりませんが、上記に近い仕組みの内容だと推測できます。
公的資金(まだ本決まりではありませんが)と合わせ、財務基盤を強固なものとした上でこの金融危機を乗り越え、北海道経済を回復に導いていくことをひっそりと期待しております。

2009-01-18

北洋銀行、公的資金申請へ

北洋銀行を抱える札幌北洋ホールディングスが公的資金の注入を金融庁に申請するようです。


以下、NIKKEI NTEより引用。

札幌北洋、公的資金申請へ 新金融強化法で初、数百億円を軸に

 北海道が地盤の北洋銀行を傘下に抱える札幌北洋ホールディングスは17日、公的資金の注入を金融庁に申請することで最終調整に入った。金融機関に公的資金を予防的に注入する新しい金融機能強化法に基づく措置で、早ければ今年度中にも注入を受ける。注入額は数百億円を軸に詰める。金融市場の混乱が今後も続くと判断、公的資金による資本増強で将来の損失に備え、貸し出し余力を高める。

 同法に基づく申請方針が表面化したのは今回が初めて。金融機関に公的資金を予防的に注入するのはほぼ2年ぶり。第二地方銀行最大手で、財務体質が比較的健全な同社が申請すれば、有力地銀各行が追随する可能性もある。今回の金融危機で欧米各国は公的資金を既に注入しており、日本でも金融安定化策が本格的に動き出す。


現在の金融危機の本質は、ずばり信用収縮に尽きるといえるわけで。その意味で、他の地銀に先立って予防線を張るというのは英断かもしれない。

何といっても、北洋銀行がつまづいてしまったら、ただでさえ最悪の北海道経済は本当に崩壊してしまうでしょうから。

しかしながら、銀行は自己資本を守るために融資を減らす目的で貸し剥し・・・せっかく資本注入してもそれが融資に回らない・・・なんてことにならないことを願うばかりです。


銀行はお金を貸すのが仕事なわけですから。

2009-01-16

ビックカメラ、監理ポストへ

昨年末あたりから色々ニュースにはなっていましたが、ついに監理ポスト行きになったみたいです。

以下、Bloomberg.co.jpから引用。

1月16日(ブルームバーグ):会計処理見直しに伴い過去の決算数値を訂 正すると表明していたビックカメラは16日、前期(2008年8月期)連結純損益 が赤字に転落していたことを明らかにした。前期中間期に計上していた特別利 益が消失した。東証はビックカメラ株が上場廃止の恐れがあるとして監理銘柄 に指定しており、株価押し下げ要因になるとの見方が出ている。

16日に東証で開示した資料によると、前期純損益は21億4000万円の損失 だった。これまでは41億1000万円の利益としていたが、匿名組合(SPC) 清算配当金49億2000万円の特別利益を取り消した。このSPCは02年8月の 不動産流動化に関与していたが、この会計処理を変更、配当金がなくなった。

ビックカメラにとって少なくともこの10年で初の赤字になる。東証は16 日、市場1部上場のビックカメラ株式を監理銘柄に指定した。有価証券報告書 の訂正を今後提出する予定で、上場廃止基準(有証虚偽記載)に該当する恐れ があるとして投資家に注意喚起する。

岡三証券の鳥浜伸八アナリストは、前期損益の赤字転落は想定できたと前 置きした上で、「監理銘柄指定と一部に報道されている証券取引等監視委員会 による調査の行方が気になる」と指摘、株価には決していい影響は与えないと 予想した。産経新聞などは、有証虚偽記載の疑いで監視委がビックカメラを調 査していると昨年12月に報じている。

家電量販店のビックカメラは昨年12月25日、池袋本店ビルの流動化をめ ぐる会計処理方法を見直し、02年8月期から08年8月期(前期)までの個別決 算と過去5期分の連結決算を訂正すると発表していた。前期中間期に利益をか さ上げした形になり、前期下期には約120億円の増資をしている。

ビックカメラの株価終値は、前日比120円(0.4%)高の2万8920円。


以下、東証からのニュース「監理銘柄の指定について-㈱ビックカメラ-」

<内国株式> 
(1) 銘柄 株式会社ビックカメラ 株式 
(コード:3048、市場区分:市場第一部) 
(2) 監理銘柄(審査中)指定期間 平成21年1月16日(金)から当取引所が
上場廃止基準に該当するかどうかを認定した日まで 
(3) 監理銘柄(審査中)指定理由 有価証券上場規程施行規則第605条第1項
第14号(上場会社が有価証券上場規程第601条第1項第11号a前段(虚偽記載)に 
該当すると認められる相当の事由があると当取引所が認める場合)に該当するため 
(注)株式会社ビックカメラは、本日、同社が平成14年8月に実行した
不動産の流動化に関する会計処理の見直し及び 
平成16年8月期から連結子会社の追加に伴う過年度決算への影響額について開示を行いました。 
当取引所としては、本日の同社の開示内容から、今後提出が予定されている
有価証券報告書等の訂正内容が重要と認められる相当の 
事由があると判断し、同社が訂正報告書を提出した後の審査の結果
いかんによっては上場廃止基準に該当することとなるため、 
同社株式を上場廃止基準に該当するおそれがある銘柄として
監理銘柄(審査中)に指定し、投資者の注意を喚起するものです。


不動産の流動化については色々と要注意ということでしょうか。ちなみにビックカメラの監査法人は「あずさ監査法人」ですね。

2009-01-08

蜷川実花展と公益法人の財務諸表

デスク周りを整理していたら、先日行ってきた蜷川実花展 のチケットが出てきた。
展覧会はとてもすばらしく、「地上の花、天井の色」というタイトルそのままに、まさに色鮮やかな花に囲まれた別世界といった印象を受けました。

                  NINAGAWA WOMAN


東京オペラシティのアートギャラリーには何度か行ったことがあるけど、常設展示はしてなかったような・・・
気になったので運営元の東京オペラシティ文化財団のサイトを見てみると、情報公開されていました。
http://www.disclo-koeki.org/02a/00107/index.html

常設展はなくとも、やはり所蔵品はたくさんありました。これによると『アートギャラリー展示用書画、755点』となってます。
そして貸借対照表の固定資産の部に、『書画等』という勘定科目で1,127,475,590円と記されてます。11億円、なかなかの金額ですね。
ついでに見てみると、資産運用の為でしょう、国債を5億円分ほど保有しているようです。ちなみに満期保有目的債権の評価方法は償却原価法(定額法)でなされていますね。

それにしても、収支計算書によれば収入の半分以上が協賛金によるものであるという現実。このご時世、美術館等の館長さん達は日々、スポンサー探しに奔走されているのでしょうか・・・

芸術・文化にはお金がかかるんですね。

2009-01-06

米国アダルトサイト運営会社が上場申請

先日、Tech Crunch Japanでこんな記事に出会いました。

Adult Friend Finder が上場を申請
http://jp.techcrunch.com/archives/20081223adult-friendfinder-files-to-go-public/


フロリダにあるアダルトサイトの運営会社が上場の申請をしたという記事で、まだ正式に上場を果たしたということではないようですが、さすがアメリカだなぁという感じです。
日本でアダルトサイトの運営会社が株式を公開するなんて話、聞いたことないですし、ちょっと考えにくいですよね。
余談ですが、楽天とライブドアでプロ野球の新規参入を競っていたとき、ライブドアが落とされた理由の一つに「ライブドアのポータルサイトではアダルトコンテンツも利用(検索?)できるので、社会的に好ましくない」みたいなことも言われていたような気がしますし。

約$400M(4億ドル)で買収した会社を上場させて$460M(4億6000万ドル)の資金を獲得するということですから、とりあえずこの買収は成功ということでしょうか。

それにしても、2008年の最初の3四半期の売上が$244M(2億4400万ドル)って、もの凄いですね。

2009-01-05

決算資料から読み解く、ニコ動の行方 【雑感】

少し時間が経ってしまいましたが、ドワンゴの決算資料からニワンゴ(ニコニコ動画)について読み解いている記事を発見したので、雑感を記録。
http://markezine.jp/article/detail/5125

ニコ動、赤字半端ないとかドワンゴごと沈むんじゃないか?とかいう話も聞くけれど、無料サービスが当たり前と考えられてるwebで、有料会員が20万人超えてるのはむしろ健闘してると思う。
ただ、動画サイトの運営を黒字化させるのは本当に難しいのだな、とも思うわけで。
広告単価算定にあたって、「1pvまたは1クリックあたりいくら」として計算した場合、yahooなどのテキストと画像がメインのサイトに比べて、動画サイトの場合は1クリック獲得するためのデータ量が莫大に多くて、コストが相当かかるだろうし。
マスメディア的な広告収入に頼ったビジネスモデルは難しいのではないかと。まして、日本の年間広告費はGDPの約1%ちょっとで一定だから、不況には出稿数も伸び悩むだろうし。

だからドワンゴ(二ワンゴ)は今後、広告以外の部分で収益をあげていくような戦略をメインにとっていくのではないかと思う。 プレミアム会員およびその比率の増加とか、ポイント収入の増加とか。 ドワンゴの大株主にはエイベックスがいるから、CDのタイアップ販売やプロモーションとか。

その辺りの、ニコ動をポータルとした派生ビジネスを展開していくんじゃないですかね? 動画サイトってそうやっていかないと、いくらムーアの法則をもってしても、まだまだビジネスとして成り立たせるのは難しいんだろうなぁ。
もちろん、サーバコストの面を考えていくならP2Pなどの技術もいろいろ検討されているんだろうとは思うけれど。。

以上、雑感でした。

新年のご挨拶

あけましておめでとうございます。

こちらのブログ、半年以上も放置していましたが、新年を機にまた少しずつ更新をしていこうと考えています。
関係各位の皆様、本年も宜しくお願い致します。
健康に気をつけて頑張っていきましょう。